「問いかけることも、人間にしかできません。ありきたりの答えなら、機械が即座に出す。重要なのは回答より質問です」
本当に久しぶりの更新となってしまった。バタバタしていると時間が経つのが早い。
きのう、大隅良典さんがノーベル医学生理学賞を受賞した。しばらくノーベル賞祭りが続くのだろう。
久米宏さんの言葉を思い出す。TBSラジオ『ラジオなんですけど』(8月27日放送)より。
「どうして日本人はこう、ノーベル賞とオリンピックになると目の色が変わってしまうんだ…」
きのうの大隅良典さんの記者会見では、「子供たちへのメッセージをお願いします」との質問に対する言葉が印象に残った。
「今、なかなか自分の興味を伸ばすことが難しい時代になっている。『あれっ』と思うことが世の中にはたくさんある。そういうことの続きを大事にしてほしい」
「わかっているような気分になっているが、何もわかっていないことが世の中にはたくさんある」
「『えっ。何なんで』ということを大事にする人たち、子どもたちが増えてほしい」
確かに、最近の情報にあふれ、ビッグデータに依存する社会では、自分自身や自分の前に広がる世界に対して「分かっているような気分」を持つ傾向が強くなっているのかもしれない。
しかし、目の前に広がるものを「自明」のものとして確認することだけに終わるのではなく、「あれっ」という違和感を大切にする。そして、その世界や事象を、「なんで?」と疑って、自分自身や周囲に問いかけてみる。
大隅さんの言う「なんで?」というのは、すなわち社会や自分自身への問いかけのことなのではないか。
そうした問いの連続が、「発見」や「新しい世界」につながっていく。
アメリカ雑誌『ワイアード』創刊編集長のケヴィン・ケリー氏は、人工知能について次のように語っていた。朝日新聞(9月2日)より。
「問いかけることも、人間にしかできません。ありきたりの答えなら、機械が即座に出す。重要なのは回答より質問です」
そう。問いかけや質問こそ、我々人間がすべきことなのである。
映画『ニュースの真相』で、ロバート・レッドフォードが演じるダン・ラザー氏は次のように言っている。
「質問することが重要だ。批判されても、質問しなくなったら、この国は終わりだ」