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2011年8月26日 (金)

「ツリーのような指揮命令系統の破綻」

新しい職場では色んな「システム」があって使い方やらナンやらを学んだりすることが多い。書類の申請、業務の管理、許諾の対応などなど。何のためのものなのかわからないものもある。毎日、システム、システムという感じ。

8月1日付けの朝日新聞に「ニッポン前へ 提言論文特集」の最優秀賞として、佐藤俊郎さんの論文が全文掲載されていた。その中に出てきた言葉です。「ツリー」というのは、建築家クリストファー・アレグザンダー氏の著書『都市はツリーではない』からのフレーズ。

ボクの考えでは、ここでの「ツリー」は、そのまま「ピラミッド型」や「中央集権型」とも言い換えられる。違っていたらごめんなさい。

今回の東日本大震災への提言の中で、佐藤さんは以下のようにも述べる。「総合計画やマスタープランといった手法の破綻は震災前から、一致した認識である。ピラミッド構造を否定し、セミ・ラチスの構造を提唱した建築家Christopher Alexander(クリストファー・アレグザンダー)の考えは、ネットワークといった思考の中で、情報の共有、フラット化が進み、リダンダンシー(代替機能)という視点からも、多様な小さな単位での自律と共存が、自治体の多様性と安定をもたらす、という選択肢としてすでに用意されている」

もともとアレグサンダー氏は、都市構造について、この「ツリー」という構造について語ったものだったと思う。ボクの記憶では。佐藤さんは、この考え方が「ネットワーク」にも当てはまると指摘する。

佐藤さんは「ツリーのような指揮命令系統は破綻」と指摘しているが、一方で、日本の組織ではどんな動きが起きているか。前々回書いたように、菅総理など今の日本のリーダーたちは、グローバルな潮流のスピードに対応するため、「どなる」という手法を選択している。破綻しているにもかかわらず、どなればなんとかなると思っているのだろう。その結果、組織に置いて起きていることは、組織が従来の「ツリー」の形でもなくなったということだ。枝葉が広がった「裾野」の部分さえも、伝達のスピードのためには無駄であると考え、自分から遠いものを切り捨て出したのではないか。その結果、「ツリー」の形は、その裾野がほとんどなくなり、おそらく「裾野」が広がる「東京タワー」の形から、「東京スカイツリー」の形になったようなものになっているのではないか。

ところで「東京スカイツリー」のフォルムから「木の形」を思い出す人は、どのくらいいるのだろうか。

「ツリー構造の都市」に対して、自然都市が持つ複雑な構図は「セミ・ラチス」と言う。アレグサンダー氏が言う「セミ・ラチス」という仕組みは、人間の手で「人工的」に創造できるものなのだろうか。とても知りたい。単純な「システム」ではなく、複雑な「システム」を人工的につくることは可能なのだろうか?フラットでもあり、変化にも対応でき、修復も可能な、そんな複雑なシステムを。

きっと色んな賢人が、この答えについて言及しているのだと思う。残念ながら勉強不足なボクは、その言論を知らない。ぜひぜひ色々、読んでみたい。

ただボクが素人ながら、今、考えているのはこんなことだ。最初、人間が作れるのは「単純なシステム」でしかないのだろう。アレグザンダー氏曰くの「ツリー」のような単純な形でしかないもの。しかし最初に入れた「システム」、何度も手を入れ、何度も修復し、何度も手直しすることで、やがて複雑だけど、フレキシブルなシステムというのが出来上がっていくのではないか。

そこで大事なのは、映画『コクリコ坂から』で描かれていた「掃除」である。きっと。都市やシステムも「時間」とともにエントロピーが増大し、汚れ、破綻が増えてくる。それを何度も「掃除」することで、やがて複雑な社会に対応できる形が整えられていく。結果、最初の姿からはかけはなれた「セミ・ラチス」ができあがるのではないか。

さらに付け加えるなら、そうして出来上がった「セミ・ラチス」の都市やシステムにおいては、新しいフォルムよりも、「時間」と「掃除」によって生まれた多様な「絆」というものこそが、都市やシステムの「安定」を生んでいくのではないだろうか。

ん~。「時間」と「掃除」について、もっともっと考えてみたい~。

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