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2012年3月 9日 (金)

「日常を大事にしなければ、大きな奇跡は起こせない」

さらに前回の続き。「たくみにゆらぐ」ためには、どんな状態が必要か。

「統御できないもの」「アンコントローラブルなもの」であふれる世の中、その中で「たくみにゆらぐ」ためには、どうするべきなのか。これについて、もう少し考えてみたい。

その場合、ボクは、ルーティンを確立することが大切なのではないかと思っている。

毎度、参照にして申し訳ないが、内田樹氏は野球のイチロー選手を引き合いに、ルーティンの大切さを次のように語っている。(雑誌『AERA』2010年10月25日)

「イチローは、たぶん『ルーティン』に徹していると思う。生活習慣を変えない。毎日同じ時間に起き、同じことをする。スタジアムにも、いつも同じルートで通う。それが『昨日はあったが今日はないもの』『昨日はなかったが今日はあるもの』の検出にもっとも効果的だからである。クラッシュの予感も、爆発的なブレークスルーの手がかりも必ず、その兆候を取ることを彼は知っているからだ」

実際、マリナーズでイチロー選手のトレーナーを務める森本貴義さんも、著書『一流の思考法』で次のように語っている。

「『昨日の自分』と『今日の自分』を比較しているんです。繰り返すことで熟練し、型をつくりことで修正ができます。イチロー選手が継続的に結果を出せる秘訣は『毎日同じことを同じ時間に行う』」

自分なりのルーティンを確立する。でも毎回、そのルーティン通りにいくとは限らない。繰り返す中で、それでも変わっていく自分、昨日とは違う自分、すなわち「ゆらぐ」自分を見つめ、修正を加えていく。
ただ「ルーティン」そのものもエントロピーを抱え、破綻に近づく宿命にある。「ルーティン」そのものに修正を加え続けることも必要になる。修正を加え続け、さらには、その枠を常にはみ出そうとし続けること。継続と過程を大切にし続けながら、「ゆらぐ」のである。

自分にとってのベースとなる「ルーティン」があれば、どこに戻り、どこを修正すればいいのかがわかる。まさに生物学の福岡伸一氏の言う「動的平衡」の営みそのもの。この「動的平衡」のことを「たくみにゆらぐ」というのではないか。ルーティンをベースに修正を加えていき、新しい自分を常に作っていくのである。

正月の大学駅伝を制した東洋大学の陸上競技部長距離部門監督の酒井俊幸さんは、次のように語っていた。(読売新聞夕刊3/2)

「日常生活がこうして平穏にあることも、東日本大震災の後では奇跡的なことに思える。日常を大事にしなければ、大きな奇跡は起こせない。淡々と努力をしていきたい」

きっとルーティンを日常生活と言い換えることは可能である。ゆらぎながら日常生活を継続し、その過程こそを味わうことで、いつかブレークスルー、すなわち奇跡が起きることもあるのではないか。

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