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2012年6月 7日 (木)

「戦後日本人が追い求めた価値観は、経済の豊かさを求めて、人間性を排除し、出来る限り、上意下達の組織や、ロボットのように社会に忠実な人間を生み出すことに集約されたのではないか」

前回の続き。でも、もちろん「悪い仕組み」よりは「良い仕組み」の方がいい。当たり前である。仕組みを良くしながら、その仕組みを使って、目指すべき社会に向かっていくことが大切なのである。そりゃそうだ、というくらいの自明のことのはず。

 

では我々は、どんな社会を目指すべきなのか。これは重要である。たまたま、最近読んだ本に同じような指摘があったので、それをヒントとして紹介しておきます。

 

まずは、相場英雄さんの小説『震える牛』に出ててきたフレーズ。

 

「幾度となく、経済的な事由が、国民の健康上の事由に優先された。秘密主義が、情報公開の必要性に優先された。そして政府の役人は、道徳上や倫理上の意味合いではなく、財政上の、あるいは官僚的、政治的な意味合いを最重要視して行動していたようだ」

 

そして、南相馬を舞台にした『相馬看花』というドキュメンタリー映画を撮った松林要樹さんが『311を撮る』という本の中で述べていたフレーズ。

 

「大風呂敷を広げれば、戦後日本人が追い求めた価値観は、経済の豊かさを求めて、人間性を排除し、出来る限り、上意下達の組織や、ロボットのように社会に忠実な人間を生み出すことに集約されたのではないか。この震災をきっかけに戦後の日本は何を基軸に豊かさを求めたのかを問い直したい」(P101)

ともに言っていることは重なっている。

 

つまり、ボクが政治家の方々に目指して欲しい社会。ボクが目指すべき社会というのは、「経済的な事由が、国民の健康上の事由に優先されない社会」、そして「経済の豊かさを求めて、人間性が排除されない社会」なのである。もうひとつ付け加えれば、「仕組み・システムの維持よりも、人間性を大切にする社会」が実現してほしいという感じ。

何よりも人権が大事、という憲法に書いてあることだ。でも福島の原発しかり、沖縄の基地しかり、この当たり前のことが、ないがしろにされている社会が続いていることも確かなのである。

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