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2013年4月10日 (水)

「およそ先進国といわれている国でこれほど国際情勢をきちんと扱うメディアが貧弱な国は他にはない」

前々回のブログ(4月9日)では、新聞やテレビで「事件報道の偏重」が起きていることについての言葉を紹介した。今回は、それと裏表となる現象について指摘している言葉を紹介したい。

ジャーナリストの青木理さんは、『メディアの罠』の中で、日本のメディアで国際ニュースがちゃんと扱われていないことを指摘する。 

「およそ先進国といわれている国でこれほど国際情勢をきちんと扱うメディアが貧弱な国は他にはない。これでは視座が内向きになるばっかりだし、発想が単層化しがちになるし、ひどく幼稚で馬鹿げたナショナリズムのようなものがますます蔓延る要因になってしまうと思います」 (P172) 

テレビ、新聞と各局が、海外支局をどんどん閉鎖しているのは事実である。事件報道や、芸能まがいのニュースが比重を増やす中で、国際ニュースの居場所はどんどんなくなる。おそらく「売れないニュース」ということなのだろう。青木さんの指摘を待つまでもなく、社会の意識が内々へと向かっていくと、ロクな発想は起きないことは、今の北朝鮮や、先般のオウム真理教の状況などを見れば明らか。決して、今の日本はそれらを笑っていはいられないのだと思う。 

まったく同じ指摘を、ピーター・バラカンさん『原発、いのち、日本人』の中でしていたので並べておきたい。

「おかしいということは、とっくに気が付いていました。テレビのニュースを見ててね、どこの国でも国内ニュースがメインになるのは仕方がないんですよね。でも、日本はあまりにも、世界で大変なことが起きているのにもかかわらず、それをまったく報道せずに、国内のスポーツの話題とか、お天気のこととかね。
 
この国には毎年台風が来ることはわかっているんだから、いちいちそれをトップニュースに持ってこなくてもいいでしょ」 (P69)
 

このピーターさんの指摘を読んだときには、すごく同意した。というか同じことを考えている人がいて、ホッとした。ボクも、よくテレビのニュース番組といわれているものを観ていて、なんで「台風やゲリラ豪雨がトップニュースなんだよ」と思っていた。 

例えば、暴風雨で1人被害者が出ることと、原発事故で1人被害者が出ることを、同じような感覚で扱ってしまう。もちろん台風ニュースがまったく重要じゃないとは言わない。でも、それは天気のコーナーを拡大して、丁寧に伝えればいいもののはず。人々の興味が多いものと、ニュース価値とは必ずしも一致しないことがあることを失念している人がニュース現場にも多い、と思ったりしていたのである。

もうひとつ。これはジャーナリズムでの話じゃないけど、劇作家の平田オリザさんが、学校教育について語っていた言葉を関連として。著書『ていねいなのに伝わらない「話せばわかる」症候群』より。

「少なくとも、中学生くらいで、『国際関係』という授業を週に一時間でもつくって、中国や韓国の人たちの文化や習慣を知識として学んでいくようにする」 (P196)


いいアイデアだと思うのだが…。これから日本の内外で生活していくなかで、様々な人種、民族とコミュニケーションをとる機会が増えることは間違いない。そういう意味でも、「国際関係」という授業として、キリスト教やらイスラム、さらには、その国の歴史などを知ることは大切なのだと思う。「内向きの視座」を外に向けるためにも。


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