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2013年10月10日 (木)

「ただ誰も試したことがないだけなのだ。一度試してみれば分かる。不可能なことなんて何一つない」

久々に「水を差す」から離れてみたい。
これまで「失敗」についてのコメントをいろいろ紹介してきた。


今年3月25日のブログでは、サッカー協会の田嶋幸三さん著書『「言語技術」が日本のサッカーを変える』から。 

「サッカーは失敗のスポーツ。ですから、失敗の出来る体験は、とても大切なのです。思考錯誤で何度も何度も失敗するからクリエイティビティが生まれてくる。日本選手たちにクリエイティビティが足りないとすれば、ひとつの答えを求めすぎる結果、失敗を怖れてトライしないからではないでしょうか」 (P197) 

続いて、2月25日のブログ  

雑誌『OUTWARD』(2012年12月号)から。宮城県栗原市にある、くりこま高原自然学校の代表・佐々木豊志さんの言葉。 

「確かに体験させるというのは時間がかかります。子どもが失敗を繰り返しながら体験しないといけませんから。でも、いまは学校教育も家庭も含めて社会全体に子どもとじっくり向き合う余裕がない。物事をあまりに深く追求することがなくなってきたので、農業とか林業など早く答えがでないものに対するイメージがますます欠落していくのではないかと危惧しています」 

さらにイビツァ・オシムさんも、著書『考えよ!』では、次のように書いている。 

「結局、サッカーであろうと人生の他の分野であろうと、誰もが多くのリスクは負わないのだ。現在では、誰も必要以上のリスクは負わない。そこが私にとって日本人の理解しがたい部分である。なにしろ銀行員でさえリスクを負わないのだから」 (P162) 

そして、こうも言う。 

「リスクを負わないものは勝利を手にすることができない、が私の原則論である」 (P144) 

オシムの言う日本人の理解しがたい部分。必要以上に「失敗を恐れる」「リスクを負わない」ということ。きっと、これと同じ体質を指摘しているという文章に出くわしたので、それを紹介したい。 

建築家の坂口恭平さん著書『モバイルハウス 三万円で家をつくる』から。 

「日本という国はなんだか規則がきつくて自由ではないという印象がある。実際はそんなことないのではないかと僕は思っている。ただ誰も試したことがないだけなのだ。一度試してみれば分かる。不可能なことなんて何一つない。どんなこともできる」 (P105) 

「試す。とにかく試す。徹底的に考えて試す。試すと、固まったシステムはくすぐったがる」 P178) 

「この過程で一番強く感じたことは、『試せば大抵うまくいく』ということである」 (P179) 

当然であるが、チャレンジしたり、試したりしないと、失敗もしないかわりに、オシムの指摘するように「勝利も手にできない」、田嶋さんの指摘するように「クリエイティビティも生まれてこない」。 

なぜ試さないのか。坂口恭平さんは、次のように書いている。 

「人間は忙しすぎて、試す時間を失ってしまっている。これが国家がどうしようもなくなっても成立してしまう理由だ。みんな実践する時間がないのだ。それよりも飯を食べるために、家を確保するためにだけ、働かなくてはいけない。これは本当に変える必要がある」 P185) 

その「時間」について。上記に紹介した佐々木さんも触れている。
 

さらに、フランスの経済哲学者、セルジュ・ラトゥーシュさんは、毎日新聞夕刊(10月7日)で次のように書いている。

「時間を取り戻し、治療するためにも、今すぐに脱成長社会を構築しなければなりません」 

「さまざまな距離を縮小し、生活を地域に根差し、スローな生活を再評価する。労働時間を削減し、製品の耐用年数を伸ばし」 

「私たちは速度への執着から解放され、時間と生活の奪還へと向かわなければなりません」 

時間と生活の奪還。それが「試すこと」「失敗を恐れないこと」につながっている。

もっと言えば、坂口さんの書く「試す。とにかく試す。徹底的に考えて試す。試すと、固まったシステムはくすぐったがる」というフレーズは、「水を差す」ということにも通じている気がする。



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