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2013年11月 1日 (金)

「でも政治家は、法を守ることに意味がある社会自体の存続のために、必要ならば法の外に出ることを辞さぬ存在でなければならない」

前回のブログ(10月29日)では、国会議員の亀井静香氏の以下のコメントを紹介した。改めて載せてみる。朝日新聞10月29日より。

「政治家に必要なのはね、使命感と覚悟だ。しかし今の政治家は覚悟がないから権力を使わない。間違えて損をするのは怖いから、事なかれ主義で掟に従う。どうして政治家になったのかね」 

最近、使命感と覚悟を持って、リスクを恐れずに実行する政治家が少なくなったとの指摘である。掟、すなわちルールに従わない政治家は「悪人」とされるとのこと。 

本当に「ルールに従わない政治家」がダメな政治家なのだろうか。その辺のことを改めて考えてみたい。

岩波書店が100周年で編集・出版した『これからどうする』という本の中に、ジャーナリストの船橋洋一さんによる以下の言葉を見つけた。
 

「官僚機構は通常、ルーティン(日常)に対応するように設計されている。ここでは、公正、法遵守、効率などの価値観が尊ばれる。ところが、危機時は、選択と集中・柔軟性、臨機応変・ルール無視、冗長性が往々にして必要となる。このモードの切り替えは政治家の最初にして最大の仕事である」 (P41) 

法・ルールを守るのが官僚で、それに対して、臨機応変に「ルール無視」が求められるのが政治家である。という指摘。

そこで
以前、紹介した社会学者の台真司さんの言葉をもう一度、並べてみたい。(2012年5月8日のブログ パート1パート2から)

宮台さんは、マックス・ウェーバーの『職業としての政治』という本に書かれていることを次のように紹介している。TBSラジオ『荒川強啓デイキャッチ』(2012年4月27日)より。

「政治家は、法律を守るべきでは必ずしもない。法律を守っていては、国民を守れない場合には法律を踏み越えろ」 

「合理的であることに意味がある社会の存続には、合理性の枠外で振る舞える存在が必要で、それが政治家だというのがウェーバーの主張でした。人が重要だということ」
 

雑誌『サイゾー』(2012年5/18号)での宮台氏の指摘もある。 

「一般市民は、命を失うことを恐れ、法を尊重しない者を糾弾します。でも政治家は、法を守ることに意味がある社会自体の存続のために、必要ならば法の外に出ることを辞さぬ存在でなければならない。法の外に出ることで社会に益する所が少なければ政治家は血祭りにあげられますが、政治家にその覚悟がなければ、社会が淘汰されます」 

マックス・ウェーバーも言っているのだ。必要ならルール・掟を乗り越えろ、と。そのリスクを背負うために、亀井氏の言う「使命感」と「覚悟」が必要とされる。 

南相馬市の桜井勝延さんの言葉も思い出す。『放射能を背負って』(著・山岡淳一郎)から。(2012年6月20日のブログ 

「現実を直視して、人間として、ふつうに、当たり前に、ということです」 

「彼らの声は、なかなか外に伝わらない。その声なき声を支えるためには法的根拠には従うし、専門家の知見も参考にする。でも現場感覚が圧倒的に重要です。机上論は、現場で通用しない。現場感覚を大切に、人間の良識、常識に従って判断をする」 (P144) 

その使命感や覚悟はどこから来るのか。現実を直視し、現場感覚を大切にし、人間の良識・常識に従うこと。決して、ルールや掟に従うことではないのである。 

もうひとつ。

スピルバーグ監督の映画『リンカーン』もそんな映画だったと思う。映画の中でのリンカーン大統領のセリフ。(2013年4月22日のブログ  

「コンパスは真北を示すことができるが、君の目的地と君との間にある障害物については何も知らせてくれない。もし君が真北を目指して、その結果、沼にはまってしまったら、君は良いことを誰にもしてあげられない」

日本の政治の世界では、経済成長や消費者要求、対アメリカ関係の前に何もできない政治家、前例や慣習、しがらみを飛び越えられない政治家、そんな政治家ばかり。われわれ有権者やマス・メディアも、掟やルール、慣習を遵守することばかりを求めるのではなく、「長い目で社会に益するかどうか」で彼らを判断・支援していくべきなのだろう。

 



 

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