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2014年1月23日 (木)

「今やこの国全体の、私たち日本人の平和ボケ、飽食ボケに次いで、言葉ボケに陥りかけているという不安を持っている」

一応、「言葉」についての続きです。

毎日新聞の岩見隆夫さんが、今月18日に亡くなった。

個人的に仕事でとてもお世話になった人であり、心の底から尊敬する人だった。何軒も飲み歩いたり、自宅に呼ばれ飲み続けたりした。とにかく酒が強く、飲んでいるときの笑顔がとにかくチャーミングだった。

各紙に載っていた岩見さんに関する記事を読む。毎日新聞(1月19日)の「評伝」の欄に、次の一文があった。

「作家の丸谷才一さん(故人)は、岩見さんの仕事についてこう語っていた。『政治と言葉という明確な主題があり、常によい文章を書く』」

岩見さんは、確かにいろんな場所で、政治の世界における「言葉」の大切さについて語っていた。それが欠落することへの危惧も述べていた。

雑誌『中央公論』(2月号)に、岩見さんの『日本の「せっかち」を叱る』という文章が載っている。そこでも、「言葉」について書いている。

「うまく整理して器用にしゃべるために用意する『答弁言葉』と人格をこめる『言葉』は大きく異なるのだが、どうも安倍さんはそのあたりの違いに疎いようだ。まあ、言葉に鋭敏でない首相というのは過去にもたくさんいて、それ自体はそんなに残念なことでもないのだが」 (P130)

 

言葉に疎い総理大臣…。
だから、曖昧な言葉が次々に生まれてくるのだろう。


そして岩見さんは、シアターネットTVというところで『週刊 岩見隆夫』という番組もやっていて、その2011年3月4日の放送では、まさに「言葉」について話している。

「私は今や『言葉の力』という問題は日本全体の重要なテーマになっていると思う。先に述べた菅総理の言葉にもそういう危うさがある。今やこの国全体の、私たち日本人の平和ボケ、飽食ボケに次いで、言葉ボケに陥りかけているという不安を非常に持っている」 (7分30秒ごろ)

言葉ボケ。岩見さんの口からきくと、本当に重い。そしてこの問題提起を忘れてはいけないのだと思う。

上記の『中央公論』の中から、もうひとつ。

「二十一世紀のキーワードは『せっかち』である。せっかちはよろしくない。反せっかちのススメである。こんな難しい時代である。急ぐことはないぞ、と僕は政界、官界、マスコミに言いたいのである」 (P135)

 

そう。

「ちゃんとした言葉」を手に入れるためには、それなりの「時間」が必要なんだと思う。じっくり自分の内面を見つめ、言葉選びに時間をかける。そうすることで、「ちゃんとした言葉」が生まれてくるのだろう。

 

効率を求め、とにかく急ぐことと、言葉を大切にすること。この2つは両立しない。トレードオフの関係に違いない。

 

岩見隆夫さんの「反せっかち」のススメ。これも忘れずにいたい。

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