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2014年1月30日 (木)

「野球にしろ、ピアノにしろ、いかにそれを楽しむか。楽しむって大事。だって僕、つらい時でもやっぱり、野球は楽しいもん」

前回のブログ(1月24日)では、日米における野球の価値観の違いについての言葉を並べてみた。

 

アメリカの野球では「野球を楽しむのが一番」という価値観のもと行われている、ということだった。せっかくなので前回同様、審判の平林岳さん著書『サムライ審判「白熱教室」』から、ほかにも「野球を楽しむこと」についての言葉を並べてみたい。

「アメリカではまず野球を楽しむ。そして、野球というゲームそのものを大事にしています」 (P24)

「まず根底の考え方として、『野球を楽しまないと、いいパフォーマンスはできない』。野球が好きなだから練習でもプレーでも一生懸命に取り組むわけです。楽しいから、努力したくなるという考え方が、根本的に日本と違うとおもいます」 (P143)

「技術も一流、身体も精神も充実した選手や審判が集まって『さあ、野球しよう!この中で一番楽しいのは、きっと俺だぜ』という気持ちでプレーするのですから、メジャーリーグのゲームが面白くないわけありません」 (P144)

楽しむ気持ちは伝染します。フィールドが野球を楽しむオーラで満ちていれば、スタジアム全体が楽しいエンターテイメント空間になります」 (P144)

こうしたアメリカ野球に対して、日本の野球では…。

「日本では、『野球を楽しむ』というと、とかく『プロ根性がない』『甘いのではないか』といった印象を持つ人が多いようです。僕はそれは違うと思います」 (P143)

「日本ではなかなか、心から楽しんでプレーしている選手が少ないように思います」 (P144)

「日本野球も、まず少年野球の時代から子どもたちに野球を楽しむことを教えてほしい」 (P146)

あさのあつこさん小説『さいとう高校野球部』を読んでいたら、主人公の山田勇作くんのこんなセリフがあった。

「野球がおもしろくて、楽しくて、その結果として甲子園があるのなら楽しい。けっこう、たのしい。かなり、楽しい。けど、甲子園そのものが目標になってしまったら、やっぱり、それ間違っているでしょうと、おれ的にはいいたい」 P70)

 

高校野球における甲子園。当然、「そこに行けなきゃ、楽しくない」ということにはならない。目指す過程にこそ、人生のいろんなことが詰まっているに違いない。

神村学園野球部監督の山本常夫さんの言葉。『指導力。』(著・田尻賢誉・氏原英明)より。

「勝つために何をしてもいいわけじゃない。甲子園だけじゃなくて、甲子園を目指す過程の中に人生のためになることがいっぱい詰まっている。これが一番言いたいことですね」 (P246)

そして、これは野球の世界の話だけではないと思う。我々は、「仕事だから」「お金が必要だから」「受験があるから」「みんなやっているから」などと、いろんな場面で「楽しむこと」を後回しにしてしまっているのではないか。

去年、メジャーリーグで大活躍した上原浩治投手。『アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた』(著・小国綾子)で、小学生とのインタビューでも次のように答えている。

「あきらめるな。あきらめたら、そこでゲームオーバー。でも、あきらめなければ可能性はゼロじゃない。だから絶対にあきらめちゃいけない。野球にしろ、ピアノにしろ、いかにそれを楽しむか。楽しむって大事。だって僕、つらい時でもやっぱり、野球は楽しいもん」 (P196)

子どももそう。そして、大人だってそう、なんだと思う。

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