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2014年2月27日 (木)

「考えることで人間は強くなる」

先週放送されたピーターバラカンさんのTFMの番組『ザ・ライフスタイル・ミュージアム』(2月21日放送)を聞いていたら、ゲストとして出演していたドラマ『あまちゃん』の主題歌で知られるミュージシャンの大友良英さんが、自分の故郷の福島について、次のように語っていた。

「僕は科学者じゃないので、放射能のことをどうにかすることはできないんですけど。こういう状況の中で人はどう生きていくかという考え方を出していくのが音楽家とか文化に携われる人の役目だと思っている。それは多分意見の違う人たちが、違うままでどううまくやっていくかという枠組みかなと思う。お祭りをやるのも、その中の大切な一つだと思っている。じゃないと本当に状況は厳しいので。ただその状況に向かっているだけだと生きていけない」

これは被災地だけではなく、今の社会前提にも当てはまることだと思う。

「同調圧力」によって社会をひとつにまとめるのではなく、多様な価値観をそれぞれ大切にしながら、お祭りや音楽などの文化、エンターテイメントを介在させることによって、その様々な人たち同士がうまくやっていくということ。きっとそれが社会なのだと思う。


それから。「同調圧力」絡みの言葉も追加しておきたい。

読売新聞(2月22日)で、編集委員の芥川喜好さんのコラム『時の余白に』を読んでいたら、次の一文で締めくくられていた。

「人がどう騒ごうが、自分で受け止め、自分で考えて、つまらなければそこから立ち去ればいい。自分は加わらない、自分はそうしない、という身の処し方もあるのです」

この言葉は、「同調圧力」に対する処し方となっていて興味深い。では、芥川さんは、上の言葉を映画『ハンナ・アーレント』から導いている。

ナチス政権のもとで、ユダヤ人虐殺の中心的人物であるアインヒマンについて、映画『ハンナ・アーレント』の中で、ハンナ・アーレントは次のように語る。

「人間であることを拒否したアイヒマンは、人間の大切な質を放棄しました。それは思考する能力です。その結果、モラルまで判断不能となりました。思考ができなくなると、平凡な人間が残虐行為に走るのです」

そして、映画のクライマックスで、アーレントは学生への講義を次の言葉で締めくくる。

「考えることで人間は強くなる」

芥川喜好さんは、この映画について次のように書いている。

「世評は知らず、この映画の主題が『言葉』であることが面白かったのです」

「言葉、すなわち思考、すなわち思考する人間」

つまり、「同調圧力」に加わらないためには、やはり「考えること」と「言葉」が重要ということなのだろう。

このブログではいろんなことがつながって、結局、同じことを繰り返し書いている。そんな気になってきた。「考える」(2012年5月8日のブログなど)「言葉」(2013年11月21日のブログ など)

 

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