「日本ってそういう国ですよね。『誰もやってないこと』をやるなっていう国ですよね」
前回のブログ(2月18日)まで、4回続けて「同調圧力」についての言葉を並べてみた。今回も「同調圧力」という文言は出てこないけど、そのニオイのする言葉を並べてみたい。
一水会の鈴木邦男さんの言葉。坂本龍一さんとの対談本『愛国者の憂鬱』から。
「僕は左翼とも右翼とも付き合いがあるけれど、みんな『自分の言葉を組織の中で言うことはわがままで、全体を壊す』と言います。だから、みんなは自分のことを言わないまま、一つの意見になって突き抜けいってしまう。途中で立ち止まることができないんですよ。ましてや、引き返すことはできません」 (P202)
「日本にはそういう『個』の自由がなくて、何か『個』を消すことが当たり前のように思われています」 (P204)
最初の言葉は、何度も取り上げるが、加藤陽子さんの指摘とそのまま重なる。(2月13日のブログ )
解剖学者の養老孟司さんの指摘。著書『バカの壁のそのまた向う』から。
「『世界にたった一つの花』という歌があったと思う。でも世界に二つある花なんか無い。どの花だって、世界にたった一つである。でもこういう歌ができることについては、『同じ』ものがたくさんあるというのが、暗黙の常識になっていることを示す」 (P161)
続いて、TBS『報道特集』のキャスターの金平茂紀さん。新聞『週刊読書人』(1月10日号)から。
「日本のマスコミはメディアの強い内部統制、内部規律がある一方で、『内部的自由』の方がまったく保障されていないと思いますね」
そして、ピーター・バラカンさん。TFM『ライフスタイル・ミュージアム』(1月17日放送)から。
「日本ってそういう国ですよね。『誰もやってないこと』をやるなっていう国ですよね」
中日ドラゴンズのGM、落合博満さん。著書『戦士の休息』から。
「最近の世の中は『ダメだ、ダメだ』とか『こうしなきゃいけない、こうあるべきだ』が多すぎて。自分が好きで足を運んでいる場所に決め事が多すぎるのかな」 (P192)
こうやって並べて読むと、今の社会の持つ「息苦しさ」が伝わってくる感じがする。
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