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2014年6月14日 (土)

「日本人の一番悪いところは、『すべてが他人事』という感覚に侵されているところだと思います」

前回のブログ(6月13日)では、ルーティンを繰り返し、「目の前」に現れるものから修正していくことの大切さについて書いた。

この「目の前」ということについて、もう少し転がして考えてみたい。

自分の「目の前」にあるものとちゃんと向き合うこと。それは言い換えれば、「当事者になる」ということなのではないか…。


以前のブログ(3月25日)で、「当事者」ということに関係する言葉やフレーズを並べてみた。

これからは、それぞれの人が「当事者」として色んなこと引き受け、考え、行動することが大事なのでは、ということだった。


そのあとも、いろいろと「当事者」にまつわる言葉を見つけたので、その言葉から考えてみたい。

東日本大震災と原発事故については、当時、多くの人が「当事者」としての立ち位置や意識を突きつけられた。

映画監督の久保田直さんは、毎日新聞夕刊(3月6日)で次のように語っている。


「直後は当事者と感じたはずなのに、突きつけられた生き方の問い直しは完全に人ごとになっている」

「あれほど大事故に直面したのに、明日、自分は死ぬかもしれないと思っている人は少ない。すべてに『当事者』意識が希薄化している」


東日本大震災の直後は、多くの人が「当事者意識」を持っていた。「決して他人事ではない」「何かをしなければ」と思って僕もボランティアに駆け付けた。3年たった今、社会には「他人事」という空気が早くも支配している。

ラジオパーソナリティの吉田照美さんは、著書『ラジオマン』で次のように指摘している。

「日本人の一番悪いところは、『すべてが他人事』という感覚に侵されているところだと思います。自分の身に降りかかったときに初めて、事の重大さに気づき、自分の置かれている立場を知らされる。あんな大きな事故があったにもかかわらず、そういう気質が今でも直っていない。日本人特有の、水に流せないのに流してしまおう的な状況が、相変わらず続いていることの恐怖をつくづく感じます。本当は、水に流しても元通りにならないことだってあるはずなのに」 (P197)

そして、社会学者の開沼博さんは次のように言う。文化放送『ゴールデンラジオ』(3月14日放送)より。

「ともすれば福島を観客として見ているだけではないか、消費物として見ているのではないか。あなたもプレイヤーですよね。あなたもプレイヤーとして何を出来るかを考えてくださいと思う」

ここでいう「プレイヤー」とは、「当事者」と同じことなんだと思う。

大震災から3年以上の月日が流れる中、どこまで「当事者意識」を保てるのか。自分たちの生活の「目の前」で起きた出来事ととらえ、他人事としないかが問われ続けている。

作家の重松清さん『世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ』から。

「当事者としての振るまい方をこれから見つけなければらなないのかもしれません」 (P198)

「原発事故によって、数十年単位の、もしかしたら僕らの生きている間には終わらない問題がつきつけられた。その『いつ』も『どこ』も枠が抜けたところで、どう当事者として振る舞い、どう引き受ければいいのか」 (P199)

当事者であるためには、前回のブログで取り上げた古市憲寿さんがいように、「今」と「ここ」の問題として受け止める必要がある。「いつ」や「どこ」が欠如したままでは、その問題は他人事とならざるをえない。

最後に、社会学者の宮台真司さんの言葉。『原発をどうするか、みんなで決める』から。

「巨大なものに何もかも委ねたまま生きる結果、自分たちが何をしているのか、自分たちが何者なのかわからなくなる」 (P28)


当事者意識を失うということは、自分が何者かをわからなくなるということでもある。

大きなものに目を奪われるのではなく、「今」「ここ」を大事にして、「目の前」とちゃんと向き合うこと…。やはり、そういうことになる。

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