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2014年10月23日 (木)

「上九一色にはオウムはない。みごとにない。まるで揮発してしまったかのように、きれいさっぱり消滅している。削除されている」

前回のブログ(10月17日)に続いて「過去や歴史を葬り去る日本社会」について。

今週のNHK『クローズアップ現代』(10月20日放送)「公文書は誰のものか」という特集をやっていた。その番組での言葉をメモ代わりに載せておきたい。

公文書の保存の意義について。歴史学者の加藤陽子さん

「国民の信託を受けて国がさまざまな活動をやっている。その活動の記録がそもそも残されていたなかったら、国民は生きた証がなくなるわけです」

「今までそれが出来なかったということで、国家的な損失は大きかったのではないか」


学習院大学教授の保坂裕興さん

「基本的な材料の公文書が失われてしまうことになって、過去に起こったことが検証できなくなるということが起こってしまう」

東京大学教授で政治学者、牧原出さん

「日本の場合には『沈黙は金』『しゃべらない』『残さない』という組織文化があって、公文書を残しにくい。行政官というのは、自分でやってきたことは全体の部分であって、部分だから重要でないということで、残そうとしない傾向がある」

「過去に省庁が公文書を保存していた場合も、あくまでも行政の執務のためであって、国民のためという意識が薄い」

「日本がどうして決めたのかは、世界にとっても意味があるし、そして何としても次世代に対する説明責任ではないかと思う。だからこそ残す責務が私たちにはある」


ちなみに、フランス公文書管理の予算60億円という。日本の予算は、その1/3に過ぎない。

公文書についてではないけど、先ほど読み終わった本から、歴史を消去する事例をひとつ。

作家の森達也さん著書『A3』(文庫版下巻)より。オウム真理教の本拠地・上九一色村のサティアン跡を訪れての言葉。

「戦後最大で最凶の事件。当時の新聞や雑誌の見出しには、このフレーズが何度も踊っていた。仮に日本社会にとって悪夢の記憶なら、なおのことそれを抹消すべきではない」 (P247)

「上九一色にはオウムはない。みごとにない。まるで揮発してしまったかのように、きれいさっぱり消滅している。削除されている」 P248)

「こうして上書きと更新をくりかえし、最終的に残されたのは一面の草原だ。確かにサティアン群の痕跡はどこにもない。でも不自然な消滅は逆に不安を煽る。欠落した何かを想起させる」 (P250)


そういえば、巣鴨プリズンもない。陸軍参謀本部があった市ヶ谷の建物も取り壊された。海軍軍令部のあった霞が関の建物もない。

東日本大震災の遺構も、3年しかたっていないのに、次々と消えていく。

こうやって我々の目の前から「歴史」がどんどん姿を消し、何もなかったように新しい建物に取り換えられていく。

前回(10月17日)のブログでは、「歴史や過去を大切にしないと、いつのまにか歴史そのものを誰が書き換えてしまう」という話で終わった。

さきほど戦史研究家の山崎雅弘さんツイッター(10月15日)に、こんな指摘があった。

「自説に都合のいい歴史的事実だけに目を向け、不都合な歴史的事実は一切無視して、歴史解釈を歪める人間を『歴史修正主義者』と呼ぶが、その思考は麻薬的な魅力を持つ。過去の不都合な歴史的事実を『無かったこと』にする『全能感』を繰り返し味わうと、やがて現実も同様に操作できるという錯覚に陥る」



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