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2014年10月17日 (金)

「歴史を忘れた国は問題を起こします」

「予測社会」その12。ちょっと番外編な感じだけど。

今週火曜日(10月14日)、特定秘密保護法の運用基準と施行期日を定めた施行令が閣議決定された。

東京新聞(10月15日)には、次の一文があった。

「秘密指定の期間は原則三十年だが、一度指定されれば、政府の判断で永久に指定され続ける懸念もそのまま残った」

日本弁護士連盟会会長声明(10月14日)にも、次のように書かれている。

「特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある」

このままでは歴史事実が「特定秘密」のまま、永久に闇に葬られる可能性がある、ということ。

未来を予測で埋める「予測社会」。 

この裏には、過去や敗戦を反省検証しない「永続敗戦」があると前々回のブログ(10月9日) で書いた。

池上彰さんの言葉を改めて。毎日新聞(2013年1月1日)より。(2013年1月8日のブログ

「未来を見るためには、まず、過去を見よ。人間は、いつの時代も、同じような行動をとり、成功したり、失敗したりしています。すこし前の歴史を見ると、現代とそっくりではないかと思えるようなことがたくさんあります」

内田樹さんの「未来は現在の延長ではない」という言葉を用いていたが、反対に「少し前の歴史と現代とはそっくり」ということになる。

だから「未来予測」なんかよりも、過去や歴史を見つめることが大事になるのではないか。

こで今回も、過去や歴史についての言葉を改めて並べたい。(「歴史から学ぶ」

NHKディレクターの高木徹さん著書『国際メディア情報戦』より。

「重要文書を都合が悪くなると焼いてしまう。それは欧米諸国と比較すると顕著な日本の特徴だ」 (P3)

「アメリカでは、過去の公文書は納税者である国民のものであり、基本的には公開されるべきで、それが民主主義の根本原則だという考えが浸透している。公文書館のスタッフも自らの仕事を、民主主義を支え国民に資するものとして誇りを持っている」 (P4)

作家の保阪正康さん著書『「昭和」を点検する』より。

「日本の戦争に関する資料はほとんど残っていない。軍事裁判での戦争責任の追及を恐れたんでしょうが、次の時代に資料を残して、判断を仰ぐという国家としての姿勢がまったくなく、燃やせということを平気でやる」 (P178)

「私は基本的には政治・軍事の当事者が、自分の時代しか見ていなかったのだと思います。それは歴史に対する責任の欠如ではないか」 (P179)

作家の半藤一利さん。同じく著書『「昭和」を点検する』より。

「国家には『資料の整理保存、それはおまえの仕事だろう』と言いたいですね」 (P180)

「証拠隠滅は歴史への冒涜です」 (P182)

日本という国は、歴史を消去することを繰り返してきた。

緒方貞子さんの言葉。朝日新聞(9月17日)より。

「歴史を忘れた国は問題を起こします」

きっと、この言葉は忘れてはならない。

そして作家の葉室鱗さん。今、映画が公開されている小説『蜩ノ記』。この中で、家譜という藩の歴史書を編む主人公の戸田秋谷は次のセリフを口にする。

「家譜が作られるとは、そういうことでござる。都合好きことも悪しきことも遺され、子子孫孫に伝えられてこそ、指針となる」 (P40)

「だが、先の世では仕組みも変わるかもしれぬ。だからこそ、かように昔の事績を記しておかねばならぬ。何が正しくて何が間違っておったかを、後世の目で確かめるためにな (P46)

「御家の真を伝えてこそ、忠であるとそれがしは存じており申す。偽りで固めれば、家臣、領民の心が離れて御家はつぶれるでありましょう。嘘偽りのない家譜を書き残すことができれば、御家は必ず守られると存ずる」 (P310)

ここで出てくる「指針」という言葉。個人的には、この「指針」こそが「予測」よりも大事なのではないかと思っている。

未知なる「未来」を不安がり、それを予測で埋めて「確実な未来」を手に入れることに躍起になるよりも、歴史を見つめ過去から学び、「指針」を得る。その「指針」を支えに、「不確実な未来」を歩んでいく。こんな感じだ。

でも実際の社会には、「予測」があふれ返る。みんな過去や歴史を振り返らない。いつの間にか、誰かが過去や歴史を「美しく書き換え」ても気づかない。そんなジョージ・オーエル『1984』のような世界がやってこないことを祈る。


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