「日米地位協定の下では日本国の独立は神話であると思いませんか」
熊本に行ったりして、バタバタな日が続いて、すっかり更新が滞っている。
沖縄で起きた女性死体遺棄事件。今週23日、沖縄の翁長雄志知事は、安倍総理と菅官房長官に語り掛けたのが次の言葉。
「日米地位協定の下では日本国の独立は神話であると思いませんか」
この言葉を裏付けるような最近、耳にした日米地位協定についての言葉を並べておきたい。
経済学者の金子勝さん。文化放送『ゴールデンラジオ』(5月27日放送)より。
「日米地位協定。国辱的というか、植民地的というか、こういうことが日本国内で許されているということに我々がどうしてもっと敏感にならないのか」
「地位協定そのものがこういう不平等な状況で特権意識を生んでいるわけ。地位協定を変えて『いるなら日本の法律にきちんと従ってくれ』というのが普通でしょう。僕はどうして右翼的な人がこの売国的な国辱的なことに対して怒らないか分からない」
「対等の感覚がない。ご領主さまに対する下僕みたいな感覚。」
沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛さん。TBSラジオ『セッション』(5月25日放送)より。
「日本の保守はアメリカに追従することが保守だと勘違いしている方が多い気がする。日米同盟が大事という」
「これだけの被害、殺人事件が起きているときくらいは、日米同盟より、国民の命が大事と言って欲しい。そういう思いがある」
そのTBSラジオ『セッション』(5月25日放送)より、神奈川県在住のリスナーさんの意見。
「日米地位協定というのは、かつて開国当時に結ばされていた不平等条約と同じなのでは。安倍内閣は『押し付けられた憲法の改正を』と訴えているが、不平等条約の撤廃の方が先のような気がする」
戦後史研究者の豊下楢彦さん。著書『昭和天皇の戦後日本』より。
「憲法が『押しつけ』であるとすれば、安保条約も、そして何よりも地位協定こそ『押しつけ』そのものであった」
(P258)
「『占領時代の基本的な枠組み』そのものである日米地位協定の撤廃や抜本改正を提起することなく、『自主憲法』の制定で日本の『独立』を果たすなどということは、文字通り“絵に描いた餅”という以外にない」 (P259)
地位協定がある限り、日本では国民に「主権」はない。アメリカという国が統治を担っていて、その「法」や「事情」が優先される。しかも下請けの日本政府はアンタッチャブル…。
まさに「独立は神話」なのである。
さらに、この体制をアメリカに与え、保管していたのが昭和天皇だったという指摘もある。改めて豊下楢彦さんの指摘。著書『昭和天皇の戦後日本』より。
「昭和天皇にとっては、戦後において天皇制を防御する安保体制こそが新たな『国体』となった。つまりは、『安保国体』の成立である」 (P201)
「『安保国体』とも言うべき体制の枠組みが固められるに伴い、昭和天皇は今度は『象徴天皇』として“後景”の位置から、日本の政治外交路線がこの枠組みから逸脱しないように、節目節目において“チェック”する役割を自らに課すことになった」 (P208)
まさに「アメリカ幕府」ではないか…。
さて、「幕府」はどうしたら店を閉じるのか…。日本の歴史を振り返って見ると、新しい「最高権力者である武官(軍人)」が現れるか、「大政奉還」しかない。日本に住む人たち(国民)が自らの要望で「幕府」をチェンジすることはなかったのではないか…。
どうやったらアメリカが「大政奉還」するか。そんなことを考えてみた方がいいような…。そんな気がする。