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2016年7月の記事

2016年7月21日 (木)

「高等教育を受けていると、知識だけでなく、判断力と洞察力が豊かになる。危機に直面したときに国家や権威にだまされずに正しい選択をすることができる」

何となくだけど、前回のブログの続き。

人生は選択の連続。どうすれば、選ぶことに強くなれるのか。

作家の佐藤優さんの言葉。著書『右肩下がりの君たちへ』より。

「父も母も異口同音に『高等教育を受けていると、知識だけでなく、判断力と洞察力が豊かになる。危機に直面したときに国家や権威にだまされずに正しい選択をすることができる』と言っていた」 (P6)

目先のものにだまされず、ちゃんと選択するために知識を身に付ける。そのために教育がある。

かなり前にこのブログ(2011年10月12日) で紹介した埼玉県立浦和商業高校の教員、平野和弘さんの次の言葉とも重なる。

「自由を獲得するために教育はある」

教育は、そういうものなのである。しかし今の教育は、そうはなっていない。

作家の島田雅彦さんの指摘。著書『筋金入りのヘタレになれ』より。

「そもそも学問の習得は、奴隷状態の開放が一番の目標だった。ところがいまは教育機関が逆に奴隷養成の方向にシフトしてきた感にある」

奴隷…。

「選ぶ」ことをしない、できない人生を「奴隷」というのではないだろうか。

私たちは、気付くとどんな「選べない」人生を歩んでいるのではないか。

作家の高橋源一郎さんが聴いたサラリーマンの言葉。朝日新聞(7月13日)より。

「おれ、35年ローンで家を買ったんだ。一生奴隷が確定だ。あとは定年が来るのを待つだけ」

小島慶子さんの言葉。著書『不自由な男たち』より。

「住宅ローンというのは、本当にくびきで、経済的な奴隷になることですよね。35年ローンというおっそろしいものを、あまり今重大に考えないで組んでしまう。ローン、あれはすごい『呪い』じゃないかと思うんです」 (P39)

きっと住宅ローンだけでない…。自分がいつの間にか「奴隷」になっていないように、知性を身につけ、選ぶことに強くなる必要があるのだろう。



2016年7月 8日 (金)

「生きている限り選択は続いていく。生きるたび、選ぶたび、強くなる」

先日、映画『ブルックリン』を観た。アイルランドからアメリカに移民した女性を描いている。

この映画について、毎日新聞夕刊(7月1日)での映画評の中で次の言葉が印象に残った。

「人は自分で思い決心をすることで初めて成熟していく」

この映画での女性は、アイルランドに残るか、アメリカに移るかの選択を迫られ、そして決心して選んで、大人になって行く。文句なく良い映画です。

こちらも先日観たトム・ハーディが主演の映画『レジェンド~狂気の美学~』は、次のセリフで幕が下りる。

 「人生の選択は、死ぬまで続く」

そうなのである。人生は選択の連続である。

だけど、今の日本ではできる限り「選択」を避けるという風潮が強まっていないか。

男性学という学問をしている武蔵大学助教の田中俊之さんの指摘。著書『不自由な男たち』より。

「意味も考えず、1日10時間、週5日間、40年働き続けろと男性は言われ続けているわけです。やはり男性たちにも自分の人生を『選ぶ』ことを提案したいですね」 (P220)

日本の女性の場合、「仕事か、結婚か」や「子供を産むか、産まないか」などなど、人生の様々な場面で「選ぶ」ことを要求されている。知らない間に。映画『ブルックリン』お女主人公のように。

しかし今の日本の男性は…。一度、入った会社で働き続ける。そのまま定年まで。家庭のことにもあまり興味を持たない。人生の至る頃に選択肢あるはずなのに…、男性は「選ぶ」ことをほとんどしない。そういう指摘である。

デザイナーの奥山清行さんの指摘。著書『ムーンショットデザイン幸福論』より。

「日本人が陥りがちなこと。それは『選択肢があるのに選択をためらい。先延ばしにし、いつまでも選択はしない』という態度だ」

僕たちはよりよい人生を手に入れるため、「選ぶ」ことを繰り返していかないといけない。

スペインの哲学者、バルタサル・グラシアンの言葉。

「チャンス(偶然)ではなく、チョイス(選択)が運命を決める」

こちらは養老孟司さんの言葉。毎日新聞(2011年1月11日)より。

「人生の大事はどのような選択をするかでしばし決められる」

そして、人生だけではない。よりよい社会を手にするためにも我々は「選ぶ」ことを避けてはいけない。

あさって日曜日(7月10日)は、参議院選挙である。個人的には、とても大事な選挙だと思う。だけど最近の国政選挙では、投票率50%くらい。半数の人が「投票」という「選択」から逃げている。

今回の選挙について、今日の朝日新聞(7月8日)『天声人語』に、作家の朝井リョウさんの言葉が載っていた。

「生きている限り選択は続いていく。生きるたび、選ぶたび、強くなる」

よりよい社会を築くためにも、そして自らの人生において「選ぶ」ことに強くなるためにも、選挙には行くべし。そう思う。


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