「生きている限り選択は続いていく。生きるたび、選ぶたび、強くなる」
先日、映画『ブルックリン』を観た。アイルランドからアメリカに移民した女性を描いている。
この映画について、毎日新聞夕刊(7月1日)での映画評の中で次の言葉が印象に残った。
「人は自分で思い決心をすることで初めて成熟していく」
この映画での女性は、アイルランドに残るか、アメリカに移るかの選択を迫られ、そして決心して選んで、大人になって行く。文句なく良い映画です。
こちらも先日観たトム・ハーディが主演の映画『レジェンド~狂気の美学~』は、次のセリフで幕が下りる。
「人生の選択は、死ぬまで続く」
そうなのである。人生は選択の連続である。
だけど、今の日本ではできる限り「選択」を避けるという風潮が強まっていないか。
男性学という学問をしている武蔵大学助教の田中俊之さんの指摘。著書『不自由な男たち』より。
「意味も考えず、1日10時間、週5日間、40年働き続けろと男性は言われ続けているわけです。やはり男性たちにも自分の人生を『選ぶ』ことを提案したいですね」 (P220)
日本の女性の場合、「仕事か、結婚か」や「子供を産むか、産まないか」などなど、人生の様々な場面で「選ぶ」ことを要求されている。知らない間に。映画『ブルックリン』お女主人公のように。
しかし今の日本の男性は…。一度、入った会社で働き続ける。そのまま定年まで。家庭のことにもあまり興味を持たない。人生の至る頃に選択肢あるはずなのに…、男性は「選ぶ」ことをほとんどしない。そういう指摘である。
デザイナーの奥山清行さんの指摘。著書『ムーンショットデザイン幸福論』より。
「日本人が陥りがちなこと。それは『選択肢があるのに選択をためらい。先延ばしにし、いつまでも選択はしない』という態度だ」
僕たちはよりよい人生を手に入れるため、「選ぶ」ことを繰り返していかないといけない。
スペインの哲学者、バルタサル・グラシアンの言葉。
「チャンス(偶然)ではなく、チョイス(選択)が運命を決める」
こちらは養老孟司さんの言葉。毎日新聞(2011年1月11日)より。
「人生の大事はどのような選択をするかでしばし決められる」
そして、人生だけではない。よりよい社会を手にするためにも我々は「選ぶ」ことを避けてはいけない。
あさって日曜日(7月10日)は、参議院選挙である。個人的には、とても大事な選挙だと思う。だけど最近の国政選挙では、投票率50%くらい。半数の人が「投票」という「選択」から逃げている。
今回の選挙について、今日の朝日新聞(7月8日)の『天声人語』に、作家の朝井リョウさんの言葉が載っていた。
「生きている限り選択は続いていく。生きるたび、選ぶたび、強くなる」
よりよい社会を築くためにも、そして自らの人生において「選ぶ」ことに強くなるためにも、選挙には行くべし。そう思う。
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